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災害対策用井戸について~国分寺市と世田谷区 [6.防災まちづくり]

東西元町防災会が半年に一度開催している「湧水端(みずばた)会議」は、真姿の池湧水の簡易水質検査に続いて、ハケ上の都立・武蔵国分寺公園内の武蔵国分寺井戸(市が設置した防災井戸「むかしの井戸」)の水質の検査もしています。
井戸の内部部品をステンレスにとりかえたとかで、10/9の検査では、これまで数値が悪かった鉄と亜鉛は劇的に改善されましたが、CODの値の悪さはあいかわらず。
50リットル汲み出し時は8ppm以上、100リットル汲み出し時は6ppmでした。これまでと同様、汲み出してもCODの数値はほとんど変わりません。汲み出し後のほうがかえって数値が大きくなることもあります。

水の濁り方も、以前とかわらず。30リットル汲み出し時には、まったくの泥水状態となり、100リットル汲み出し時にも、雑巾をゆすいだ水のような色がとれません。
こんな汚れ具合では、災害時、この水で顔を洗ったりすることはとてもできないし、衣類の洗濯にも使う気にはなれません。
災害時であっても、掃除に使うかトイレに流すことくらいにしか使えないと思います。

おそらく、井戸の内部の汚れが原因と思います。この井戸は、武蔵国分寺公園造園時にあらたに掘ったのではなく、逓信住宅時代からあった井戸をそのまま使ったようです。非常に古く、その上、長らく放置されていた井戸でしょう。
500リットルほど汲み出した時にどうなるか、一度見てみたいものですが、ハケ上の井戸は深さが16メ-トル以上あるために手漕ぎのレバ-が非常に重いので、10リットル汲み出すのにも50~60回漕いで1分かかります。
500リットルといったら、50分間休まず漕ぎ続けなければなりませんので、よほど覚悟して、集団でとりかからなければ無理です。水質のことは、市の主管課に何度も言っていますが、改善には関心がないようです。

たった19ヶ所しかない市の防災井戸は、このように水質の悪いものがある上に、絶えず2~3箇所が故障しており、その修理には「予算がない」との理由で数ヶ月を要します。
こんな状況で、震災等による断水時の生活用水をまかなえるはずがありません。民間所有の井戸を、災害対策用井戸として登録することは不可欠です。

一方、非常にたくさんの民間井戸が災害対策用井戸として登録されているのは世田谷区だそうです。
世田谷区では、小中学校、小緑地、地区会館、環境共生住宅など公共施設に用意している井戸がある他、区民が所有する井戸を震災時指定井戸として登録しており、2009年4月の段階で、この登録井戸は1,544ヶ所もあるのだそう。
これらの震災時指定井戸は「世田谷区震災対策用井戸のポンプの設置及び修理に要する経費補助金交付要綱」にのっとって、既存の井戸を条件に、手押しポンプの設置や井戸の修理にかかった費用の2分の1(上限は10万円)が補助されるようです。

世田谷区ホ-ムペ-ジ 震災対策用井戸
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/d00005600.html

世田谷区震災対策用井戸の指定に関する要綱
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/pdf/5600_1.pdf

世田谷区震災対策用井戸のポンプの設置及び修理に要する経費補助金交付要綱
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/pdf/6076_1.pdf

この井戸の所有者は「災害時井戸水提供の家」というプレートを自宅に表示することになっており、井戸の場所は、世田谷区のホームページの地図上で確認することができるようになっています。

災害対策・安全安心のトップページ
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/menu/subtop10.html

避難所・防災設備設置場所検索
http://www.sonicweb-asp.jp/setagaya/map?theme=th_26

(旧版)世田谷区 危機・災害対策情報
避難所・その他防災設備設置場所検索:震災対策用井戸の地図検索
http://i-gis.city.setagaya.tokyo.jp/homepage/front/style.asp?LinkFile=../MQIS/html/addr/m_address.asp

国分寺市の人口11万5千人に対して、世田谷区の人口は外国人登録人口も含めて約85万人。国分寺市の約8倍の人口です。
世田谷区の登録井戸1,544ヶ所の八分の一の約200ヶ所を目標に、国分寺市でも民間井戸の登録を目指すべきだと思います。

これがそんなに難しいこととは思えません。
国分寺市がなぜこれをしないのか、災害時の生活用水は「むかしの井戸」だけで十分にまかなえると主管課(くらしの安全課)が言い張るのか、まったく不思議でなりません。

世田谷区以外にも、民間井戸を災害対策用井戸として登録している自治体はたくさんあります。
井戸の数や補助金制度について調べていきたいと思います。


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国分寺市の防災計画~東西元町防災会主催「地域情報交換会」でわかったこと(2011.2.19) [6.防災まちづくり]

2月19日、午前10時から、東西元町防災会の会合に出席。私もこの防災会のメンバーです。
東西元町防災会は、国分寺市の東元町と西元町に在住の防災推進委員10数名が毎月集まって、地域防災について考える会合ですが、毎年2月に、地域の各自治会の長、消防団、消防署、小中学校の先生、社会福祉協議会、国分寺市くらしの安全課職員などに出席を呼びかけ、地域防災に関する情報交換会を行っています。

毎年、くらしの安全課に対して、地震災害の時に避難所(小中学校)に「地区防災センタ-」を開設する初動要員(市役所職員=各学校5名)との顔合わせをしたい旨を伝え、初動要員の出席をお願いしてきましたが、今年、何年がかりかでようやく実現しました。
今年は、くらしの安全課の職員から、国分寺市の「地区防災計画」の中で、「地区防災センタ-」の機能についての話をうかがいました。

この中で、重大なことがいろいろと判明。

その1
国分寺市は、震度6弱の想定にもとづいて地区防災計画を策定しており、「それ以上、強い地震は来ないという想定」との説明があった。想定以上の事態となった場合の想定は一切ないということ。

その2
避難所であり、救援物資供給拠点でもあり、医療拠点ともなる「地区防災センタ-」の運営において、「小中学校の教師」と「市職員」の連携がまったく考えられていないことが判明。
「学校には学校の災害マニュアルがある」という答えがかえってきたのみで、その連携や指揮系統について、一切調整がなされていないことがわかりました。

その3
「地区防災計画」が策定された時点では、、「地区防災センタ-」の立ち上げ、および24時間の初動期における避難所運営は、各避難所5名からなる初動要員(市職員)が行うことになっており、毎年、初動要員の訓練も行ってはいますが、実際の災害では、たった5名での運営は到底不可能でしょう。
「地区防災計画」の策定以降、「地区防災センタ-」の運営要領なるものが策定されていることがわかりましたが、なんと、「地区防災センタ-」(避難所)立ち上げ初動期から、市民100人に一人の割合で「地域協力員」を出して、避難所運営に協力せよ、というハナシになっています。
これは到底、無理なハナシ。地震で家が倒壊するなど、即、避難所に行くことを決断する人以外は、みな、自宅にのこって地域で協力しながら何とか乗り切ることになる。
そこへ、避難所運営のための人を出せという。
方や、災害時には必ず職場にかけつけてくる教職員との連携は何も考えられていない。
こんな馬鹿なハナシ、ありますでしょうか。

避難所というのは、一時的にせよ、ひとつの生活コミュニティ-です。
発災初動期においては、市職員の初動要員と、学校を職場とする先生方の連携で運営を開始し、基本的には避難者の自治によって運営を行う。これが災害時の避難所運営の鉄則です。

一方、自宅・地域に残る市民の生活も、日常とはまったくことなる過酷なものとなります。
自治会などが設置する「地区本部」を中心として、小コミュニティ-ごとに協力して被災生活を乗り切る。
これも鉄則、というより、これ以外に方法がない。
水だって食料だって、基本的にはぜんぶ、自分たちで調達して自力で乗り切ることになるのです。
市の防災マニュアルは、ここに目が向けれていられない。

マニュアルは細かいことを書きすぎても動かないけれど、災害時の鉄則を忘れちゃならない。
鉄則を忘れた「防災マニュアル」は、絵に描いた餅にもならない。


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