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施策の決定に市民参加を保障しない条例(10.8.24) [5.緑の基本計画と湧水・地下水保全条例]

(2010.8.24記)

昨日(8/23)14時から国分寺市役所プレハブ会議室第1で、国分寺市緑の基本計画見直し等検討協議会を傍聴しました。
パブリックコメント前の最後の検討協議会で、湧水・地下水保全条例の素案についての最終の検討でしたが、この土壇場に来て、素案にはまたもや重大な変更がありました。
湧水・地下水に関する施策について、市長が諮問を行う附属機関の構成員を「識見を有する者」だけに限定し、6月30日の素案にはあった「市民」(市内で緑、湧水、地下水、井戸等の保全活動をしている団体の代表者)が削除されてしまったのです。つまり、市民が参加することを保障しない内容になっているのです。

これ、自治基本条例に違反していませんか?

自治基本条例は、基本理念条例なので、違反したからと言って罰則が規定されているわけではありませんが、主権は市民にあること、市民生活に影響を与える施策決定に市民が参加することを市が保障しなければならないことをうたっており、行政がこの理念を必ず守らなければならない基本条例です。

6月30日の素案では、第15条に「湧水等保全検討会議」を設置する規定があり、湧水および地下水の保全に関する事項等を検討するために市長が設置し、検討会議は市長の諮問に応じ、湧水および地下水に関する事項について調査検討し、結果を市長に答申する市の附属機関として位置づけられています。
検討会議の構成員は、委員7名以内で、そのうちわけは
(1)市内で緑、湧水、地下水、井戸等の保全活動をしている団体の代表者 2名以内
(2)識見を有する者 5名以内

5月の時点での素案では、この構成員が5名以内となっており、(1)は1名以内、(2)が4名以内でしたが、緑の基本計画見直し等検討協議会で「これでは市民が少なすぎる」という意見が出て、6月30日の素案では、(1)が2名以内、(2)が5名以内に変更されました。

ところが、昨日の最終素案では、庁内の条例策定委員会からの意見により、市民団体からの委員が削られ、「識見を有する者」のみ5名となっていました。
もちろん、検討委員会の委員からは猛反発が出ましたが、緑と水と公園課長は、「市内で緑、湧水、地下水、井戸等の保全活動をしている団体の代表者」にも識見を有する者がいるからそこに含まれる、市民を排除したものではない、という答弁をひたすら繰り返していました。

これは全くの詭弁であって、そもそも市長の諮問機関について定める条例において「市民委員何名以内」などという規定があるのは、市民が施策決定に参加する権利を保障した規定、つまり権利規定なのですから、これを削除したというのは、市民の権利規定を削除したということです。
どんな理屈をこね、なんと答弁しようとも、この素案では、市の附属機関に市民が参加する権利が保障されないことになってしまいます。
これは、あきらかに自治基本条例違反ではないでしょうか。

これが自治基本条例違反だと考える理由は、第 6条と第 7条の規定に反しているからです。

第 6条では、市民生活又は地域に影響を及ぼす重要な施策及び制度の導入において、政策の立案, 実施及び評価のそれぞれの過程において参加の権利が保障されなければならないと定められています。

また、第 7条では、市は,前条に定める参加の権利を保障するため, 事案に応じ次の各号のいずれかの方法を用いることが規定されています。
(1) 市の附属機関への委員としての参加
(2) 公聴会,説明会, 懇談会等への参加
(3) 個別の施策又は課題について検討を行うことへの参加
(4) パブリック・コメントへの参加
(5) アンケート調査その他必要と認める方法への参加

湧水・地下水に関する施策は市民生活又は地域に影響を及ぼす重要な施策であり、市長が施策を決定にあたっては、当然、市民の参加が保障されなければならないはずです。
参加の方法は、第7条に規定された(1)から(5)までのいずれかの方法でよいという規定ですが、個々の開発事業おける湧水・地下水への影響について検討し、市長が事業者に対しどのような指導を行うかという意思決定をするにあたって「市民」が意見を述べる機会というのは、(1) の「市の附属機関への委員としての参加」以外にはありません。(公聴会は開発区域の近隣住民に限定されますし、個々の開発事業について「市」がみずから懇親会や説明会を開催することはなく、パブリックコメントの実施もありません、個別の案件にアンケート調査が実施されることもありません)
今回出された最終の素案では、この参加が保障されていないのです。

個々の開発事業おける湧水・地下水への影響について検討し市長に答申を行う役割は、現行のまちづくり条例下では、まちづくり市民会議が担っています。
もちろん、まちづくり市民会議の討議内容は、開発による湧水・地下水への影響だけでなく、住環境・自然環境・景観への総合的な影響が討議の対象となっており、また、まちづくり市民会議が開催されるのは、大規模土地利用構想が出された時などの定めがあり、その他、市長が答申を必要とした場合に限られますいますが、このまちづくり市民会議には、公募市民委員の参加規程があります。市民が施策決定に参加する権利が保障されています。
しかし、湧水・地下水保全条例の規定により「湧水等保全検討会議」(昨日の素案では、この名称も別のものにかわっていました)が新設された時、個々の開発事業おける湧水・地下水への影響についての検討はどこが行うのか(「まちづくり市民会議」が行うのか、「湧水等保全検討会議」が行うのか)が不明なのです。

一方では、まちづくり条例自体、湧水・地下水観測を行う区域に関する規定が、以下のように変えられようとしています。

1.開発区域に湧水がある場合でも市長判断で観測を行わなくてよいことにする。
2.開発区域内に湧水が無い場合、現行では地下水の観測をしなくてはならないが、市長の判断次第でやらなくてすむように規定をかえる。

こうした「市長判断」によって、観測区域規定そのものが骨抜きにされる情勢が片方に存在している中で、湧水・地下水に特化した諮問機関が新設されれば、いったいどうなるのでしょうか。
現に、昨日の事務局側の答弁では、「市長の意思に沿った決定をするために、附属機関の構成員は識見を有する者に限定するようにという庁内委員会からの指示」などと、信じられない言葉がボロボロと出てきていました。(まるで、主権は市民ではなく、市長にあるかのごとく)
これが何を意味するのかと言うと、行政の言うことを聞く有識者だけを集め、そこに市民の監視の目を入れなければ、諮問機関とは名ばかりで、行政の意のままにできるということです。

個々の開発事業おける湧水・地下水への影響について検討し市長に答申を行う役割をまちづくり市民会議が担っている限りにおいては、市民参加が保障されています。
しかし、新設される「湧水等保全検討会議」(昨日の素案では別名称に変更)の答申が優先されることになれば、主権者たる市民の参加のない場所でものごとが決定されるということです。
仮に、両方の附属機関に答申させたとしても、両者の答申の内容が異なる場合、有識者だけによる答申に市長が従うことになるとすると、市民意見はどこにも反映されない。
そういう「すり抜け」の仕組みを行政が自ら作ることに、最大の問題があるのです。

湧水・地下水に関する施策について、市長が諮問を行う附属機関の構成員を「識見を有する者」だけに限定し、6月30日の素案にはあった「市民」が削除されて、市民が参加することを保障しない条例が誕生するようなことがあると、国分寺市はファシズムへの坂道をまっさかさまに転がりおちることになります。
これはなんとしても食い止めねば、と思います。

<参考>
国分寺市自治基本条例とは:
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/keikaku/4242/006702.html
国分寺市自治基本条例条文:
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/dbps_data/_material_/localhost/reiki.pdf

(2010.8.24記)

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天然の冷却装置(2010.8.17) [5.緑の基本計画と湧水・地下水保全条例]

(2010.8.17記)

今日はこの夏一番の暑さになるのだとか。
昼過ぎ、湧水観測に出かけてから夕食の買出しにまわり、今、家に帰りつきましたが、まるでフライパンの上にのせられたような”熱さ”でした。
府中アメダスによると、午後1時代で気温は37度を超えた模様。

3年前2007年の8月16日は、熊谷市と多治見市で日本最高気温の40.9度を記録した日。
熊谷はもともと、山から吹き下りてくる風が乾燥して気温があがるフェ-ン現象がおきやすい地形の上に、大都市東京のヒ-トアイランド現象で熱せられた上昇気流が熊谷で下降する現象が加わって、尋常ではない暑さになるのだとか。多治見も大都市名古屋との関係で、同じことが起きるのだそうです。

昨日も35度を超える猛暑でした。昨夜は寝たのが日付がかわった深夜2時ごろになってしまいましたが、真夜中の2時になんと蝉が盛大に鳴いていて驚きました。
蝉って夜中に鳴きましたっけ?日中あまりにも暑いため、少しは涼しい夜中に鳴くのでしょうか?それとも、夜中になっても暑いため、昼間と同じように鳴き続けるのでしょうか?

そうそう、暑いと言えばパソコンが最近、どうも異常にノロノロしています。
暑いとパソコンもノロノロするのだろうか、まさかね・・・、と思っていたら、本当にパソコンは暑いとノロノロする、つまり演算時間が長くなるのだそうです。
いやあ、この夏は、ウチのパソコン、本当にのろいんです。

パソコンって、気温が低ければ低いほど演算時間が短くなるのですって。だから、絶対零度(マイナス200何十度だかの)だと、ものすごく速いのだとか。
そのうち、冷蔵庫付きパソコンが出てくるだろうなんて、昨日、テレビで言っていました。
もっとも、うちのパソコンは真冬も調子悪いんですけど・・・。

「冷却」というと冷蔵庫とかエアコンとかの機械を思い浮かべますが、実は水と土こそが、動力を使わない天然の冷却装置だということが忘れられがちです。
炎天下でも、ただの土の庭や畑がアスファルトの上よりずっと涼しいのは、土から水分が蒸発するときに気化熱を奪って行くから。
同じ土でも、水がしみこまないほどカチンカチンに硬くなった土はアスファルトとさほどかわらないようです。
畑やよく手入れされた庭のふわふわした土が大事。

地球温暖化とCO2との関係のことばかりが注目されるけれど、ヒートアイランド現象は、都市がコンクリートやアスファルトでおおわれて、地中に雨がしみ込む面積が減ったことと、土から水分が蒸発する面積が減ったことが大元の原因です。
つまり、正常な水循環のサイクルが途切れることによって、天然の冷却装置が壊れた状態になっていることが問題なのです。
天然の冷却装置が壊れているため、真夏はクーラーに頼らざるをえず、室外機から噴出する熱風でますます外気温が上昇し、消費電力が激増することでCO2の排出量も増加するという悪循環。

この悪循環を根本的に断ち切るカギは地下水の涵養です。
そのために雨水浸透施設の設置はたしかに有効ですが、浸透枡によって雨水を強制的に地下に浸透させても、地中に保水された水分が蒸発する面積がどんどん減っているのでは、ヒートアイランド現象は改善されないのです。真夏に大気を自然の力で冷却するために大事なのは、コンクリートやアスファルトで覆われた「被覆率」を下げること、つまり、土が出ている面積を増やすこと、そして、土の保水効果を挙げるための緑を増やすことです。

同時に、かつては市域を縦横無尽に走っていた用水を可能な限り復元させること。用水は、地中に水が染み込む装置であるとともに、用水自体が大気の冷却装置になっています。

地下水や湧水や用水が大事なのは、土というラジエーターに水が接する重要な装置だからです。もちろん、地下水は国分寺市においては水道水に利用される飲み水でもあり、井戸や湧水や用水は防災上も重要であり、水に親しむ希少な場として重要であることは言うまでもありませんが、天然の冷却装置として位置づけることも重要です。
国分寺市では、せっかく湧水・地下水保全条例が作られようとしていますが、地下水や湧水を水循環の一部として、つまり、都市を冷却する装置の心臓部として捉える視点が抜けているようです。
理念条例なのですから、こういうことをしっかり書き込んでもらいたいものです。

(2010.8.17記)
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湧水・地下水保全条例素案から「災害時民間井戸活用」の項が削除された [5.緑の基本計画と湧水・地下水保全条例]

(2010.7.28記)

(仮称)国分寺市湧水・地下水保全条例素案の最終案(H22.6.30第9回国分寺市緑の基本計画見直し等検討協議会に提示)のひとつ前の素案(H22.5.21同協議会に提示)に記載されていた「災害時の民間井戸の活用」に関する項が、最終案で突如削除されてしまいました。
第13条(災害時の利用)の第二項「井戸の所有者及び利用者は、災害時に公益的な利用ができるよう努めるものとする」が、最終案では削除されています。

■削除の根拠について
H22.6.30の協議会にて委員が「災害時の民間井戸の活用」が削除された根拠を質問した際、条例の所管課である「緑と水と公園課」の答弁は以下のようなものでした。
------
「緑と水と公園課」が「くらしの安全課」にヒアリングを行った際、くらしの安全課が「災害時の生活水の確保は、市内19ヶ所のむかしの井戸(国分寺市設置の防災井戸)で十分」と言ったから。
--------
そこで委員が、「むかしの井戸で十分」とするその数値的根拠について質問すると、「聞いていない」との答弁でした。

この答弁を受け、市議会議員がくらしの安全課にヒアリングを行い、その際、くらしの安全課が数値的根拠を説明する資料を提示。この資料を入手しました。

その資料によると、大地震災害時の国分寺市の断水率は、わずかに「28.7%」しか想定されていないことが判明。
つまり、「大震災でも市内の7割以上は断水せず、平時と同様に水道が使える」ことを前提として、これをもって「災害時の生活水の確保は、市内19ヶ所のむかしの井戸で十分」としていることがわかりました。

以下、くらしの安全課が示した資料の中身について検証します。

■首都圏直下地震による東京の被害想定
「断水率28.7%」の根拠は、「首都圏直下地震による東京の被害想定より」となっています。

そこで、平成18年5月に東京都が公表した「首都直下地震による東京の被害想定(平成18年5月)」をWEBで調べてみました。
以下、関連サイトへのリンクです。

----------
■東京都防災ホームページ 地震の被害想定:
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/assumption.html

東京都防災ホームページ 首都直下地震による東京の被害想定報告書(平成18年5月) :
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/knowledge/material_h.html

同報告書本編7  区市町村別被害想定結果(PDF:819KB):
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/knowledge/pdf/h18choka/hon7.pdf

同報告書資料編図11 ライフラインの被害分布(PDF:575KB):
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/knowledge/pdf/h18choka/shiryo11.pdf

同報告書手法編6 ライフライン被害と復旧(PDF:186KB):
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/knowledge/pdf/h18choka/shuho6.pdf

[PDF] 首都直下地震による東京の被害想定 (最終報告) Ⅱ 資料編:
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/assumption02.pdf

■[PDF] 首都直下地震の被害想定 (概要):
http://www.bousai.go.jp/syuto_higaisoutei/pdf/higai_gaiyou.pdf

■[PDF] I. 直下地震の被害想定と防災対策 東京大学 名誉教授 溝上 恵:
http://www.jsi-rc.gr.jp/data/mizoue_01.pdf
---------------

上記の中の「首都直下地震による東京の被害想定報告書(平成18年5月)本編7  区市町村別被害想定結果(PDF:819KB)」に、都内区市町村別のライフライン被害想定が載っており、「多摩直下地震 M7.3  風速6m/s」を想定した際の国分寺市の上水道断水率が28.7%と予測されています。(93ページ)
くらしの安全課が示した「国分寺市の断水率」は、この数値によるものと思われます。

■被害予測における想定外の要因について
この被害予測は、あくまでも想定した条件下での予測であって、マグニチュードは最大で7.3と想定されています。関東大震災級のマグニチュード8クラスは想定されていません。
また、風速の想定は、関東大震災時の風速15m/sを想定した被害予測も出ているはずですが、この資料はWEBでは公開されておらず、国分寺市の被害予測も、風速6m/sの想定を前提としたものです。(風が強くなれば、当然のことながら、延焼などの被害が拡大し、断水率も高くなります)
また、この断水率予測は、拠点施設の被災による機能停止は対象外とされています。給水施設の被害が甚大でポンプが止まり送水が出来ないという事態は想定外です。

さらに、各住宅の蛇口に直接繋がる枝管の破損によって、蛇口から水が取り出せないという状況は、断水率には含まれていないものと思われます。
また、マンションなどの集合住宅では、停電によって蛇口から水が出なくなるという現実も、断水率には含まれていないようです。

■想定どおりなら水は確保できるのか
こうした想定外の要因が加われば、断水率3割以下という予測は脆くも崩れることになるわけで、想定内のことしか起こらないという前提で、それ以外のことが起こったときの手当てがまったく考慮されていない防災計画というのは、まことに危ういものだといわざるをえませんが、仮に想定どおりのことが起こったとして、水道の蛇口から水を得られなくなった約3割の家庭は、実際に生活水を得ることが出来るのかどうか、それを検証してみたいと思います。

国分寺市の人口は、現在約118,000人ですので、その3割というと35,000人前後となります。
国分寺市は、災害下での生活に必要な水を、飲み水一人一日3リットル、生活水は一人一日30リットルとしていますので、あわせて一人一日33リットル。
35,000人では1,155トンです。

試算数値の根拠は、震災時の水確保・「むかしの井戸」で足りるのか.doc(畑中試算)によります。
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上水道給水口9ヶ所(大口径で圧力の高い給水ホースが使われるとして):
80リットル/m ×60分×8時間給水×9ヶ所=345.6トン
※家庭の水道蛇口では、全開にしても毎分15リットル程度の給水力です。

むかしの井戸19ヶ所(動力ポンプなし、手漕ぎ井戸を24時間フル稼働させたとして):
10リットル/m×60分×24時間給水×19ヶ所=273.6トン

公立学校プールの浄化水(浄水器34台 動力ポンプなし、手漕ぎで24時間フル稼働させたとして):
500リットル/h×24時間給水×34機=408トン

345.6トン+273.6トン+408トン=1027.2トン
--------------

130トンほど足りませんが、一人あたりの給水量を30リットルとすれば、ほぼ充足できる計算になります。
しかしこれは、むかしの井戸と浄水器(いずれも動力なしの手動式)を24時間こぎ続けることを前提とします。
むかしの井戸は、19ヶ所のうち、常時2~3箇所は故障や水質悪化で使えなくなっており、予算がないからと修理に数ヶ月かかります。
そして、井戸を24時間こぎ続けること自体、不可能ですが、仮にそうしたとしたらポンプが壊れて動かなくなること必至です。

■問題の所在
国分寺市の想定どおり、水の総量はあるのです。
ところが、それを取り出す口が圧倒的に少ない。しかも、すべてを人力に頼らねばならず、故障も想定しなければならない。
水を必要とする人口に水が行き渡らない原因はそこにあるのです。

想定どおり、7割の家庭では平時と同じように水道蛇口から水が出るのであれば、出ない家は出る家から貰い水すればよいではないか、という考えも浮かびますが、実際には、敷設水道管を共有している一定のブロックが断水するのですから、隣り合うAさん宅、Bさん宅、Cさん宅のうち、Cさん宅だけ水が出なくて、お隣さんんから貰い水をするという状況にはなりません。
同じブロックの家は、全部、水が出ないということになるのですから、その地区の人は皆、給水拠点まで水を取りに行かなければならないのです。

そうなると、また想定外の問題が起きてきます。
水というものは、運ぼうとすれば死ぬほど重たいもので、これを家族の人数分、毎日毎日運ぶのは容易なことではありません。
誰だって、なるべく近い給水拠点で水を貰おうとするに決まっていますが、上で行った試算は、市内の給水拠点それぞれの能力に見合った人数が、すべての給水拠点にほどよくちらばってくれて初めて成り立つ試算です。
こんなこと、実際にはそううまく行くはずがありません。

そして現実問題、公的な給水拠点よりも近いところに、井戸を持っているお宅があると聞きつければ、皆、そこに水を貰いに行くのです。
大災害下で、井戸を持っている人が門を閉ざして他人に水を分けないなどということは、実際には出来ないのです。門を叩かれれば、井戸を開放しないわけには行かなくなる。

だからこそ、どの地区の人が水を分けてもらえるのか、開放する時間帯、給水方法など、あらかじめ原則的ルールを決めておく必要があるのです。
災害時協定を結んでおくということは、むしろ、井戸所有者の保護のためなのです。井戸を所有している人の中には、それに気づいている人と気づいていない人がいるとは思いますが、災害時協定のニーズは、井戸所有者の側に潜在していると考えるべきでしょう。

行政の想定の中には、総量の想定しかない。そこが問題です。
井戸や浄水器という器具の給水能力の限界、人力の限界についての想定がない。
そして、大災害下で、人間がどういう心理に陥り、どんな行動をとるのかという想定がまったくない。
そこが最大の問題です。

東京都が行っている「首都直下地震による東京の被害想定」は、高度な専門知識を持つ識者が行った渾身の予測であるとしても、そもそも予測というものは、蓋然性をまとめたものに過ぎず、また、東京全域という広範囲において、被害がどのように分布するかという大くくりな量の想定に過ぎません。
この広域的な量の想定をそのまま区市町村にあてはめて、大くくりな想定以上の被害が起きないことを前提とした計画は、現実には破綻を免れないことを知るべきでしょう。
被害予測というものは、想定された被害以下では済まないことを想定するための材料だと考えるべきです。

災害下であろうと、平時であろうと、水そのものは無限と言ってよいほどの量が存在します。
その水を、人間が使える形で取り出す術が極端に狭められる。それがすなわち災害なのです。
災害下において、人が最低限暮らせるだけの水を確保できるようにする対策というのは、水の取り出し口をひとつでも多く確保することに他なりません。
国分寺には、まだたくさんの民間井戸が残っており、イザという時に備えて、普段から井戸を使えるように手入れしている所有者は大勢います。その井戸水の利用を、なぜ災害対策の中に位置づけないのでしょう。
行政が「量はある」とタカをくくって、取り出し口を増やす手当てを怠れば、それはもはや人災というべき災害となります。そこにパニックや暴発的な事態が引き起こされ、連鎖的に拡大してゆくのです。

■削除の背景と今後に向けて
国分寺市は平成18年ごろには、「地下水は公水」という考えに立ち、災害時には民間所有の井戸を活用する方向で行くという議会答弁もありました。
ところが、平成19年3月に出た防災計画(所管課はくらしの安全課)では、その考えは捨て去られていました。
以来、防災の所管であるくらしの安全課が行うべき民間井戸所有者と行政との対話は断たれてきたのですから、ある日突然、「湧水・地下水保全条例」に「井戸の所有者及び利用者は、災害時に公益的な利用ができるよう努めるものとする」などという条文が盛り込まれれば、当然、反発も出るでしょう。
行政はそれを恐れて、素案から当該条文を削除させた、ということでしょう。
湧水・地下水保全条例を策定している「緑と水と公園課」の側には、公水としての地下水を保全し活用しなければという思いがある一方で、防災計画の所管のくらしの安全課、もしくは市の上層部は、「地下水は公水」という考えを放棄するよう方向転換をしており、「緑と水と公園課」の条例素案にストップがかかったという裏事情がうかがえます。

「地下水は公水」という考えを突然放棄し、民間井戸所有者との対話を怠ったツケがまわってきたわけで、只今ただちに当該条文を復活させることは難しいかもしれません。
しかし市民がこのまま黙っていては、イザ災害が起きた時、水の確保をめぐって悲惨なことが起きてしまうのは必至。
9月に予定されているパブリックコメントを機に市への説得を開始し、並行して議会にも頑張ってもらわなければなりません。
条例制定は終着点ではなく、対話と議論をはじめるための出発点と考えたいと思います。

(2010.7.28記)
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湧水・地下水保全条例策定の背後で進む規制緩和の動き(10.7.27) [5.緑の基本計画と湧水・地下水保全条例]

(2010.7.27記)

国分寺市では「湧水・地下水保全条例」の策定に向けて、現在、「国分寺市緑の基本計画見直し等検討協議会」において条例素案の検討が行われております。
この「湧水・地下水保全条例」には、具体的な規制は盛り込まれず、市はあくまでも理念条例として仕立てるとしているため、具体的は開発規制は「まちづくり条例」に定められた開発整備基準に委ねられます。

このまちづくり条例の開発基準が、今、緩和されようとしています。
開発事業下における湧水・地下水保全のための具体的な規制に関して、国分寺市がまちづくり条例をどう変えようとしているのかを、ここに記録しておきます。

■関連条例
市が変えようとしているのは、赤字の部分(別表3の1項のア)。
「観測区域」に指定されているエリアは変更せず、指定区域以外でも観測などの措置を要請することができるよう明文化する一方、指定区域内であっても市長が必要ナシと判断すれば観測は行わないとするものです。

※これまでも、コスモスイニシアの泉町、旧四小跡地の西元町は「観測区域」外でも観測をさせた実績がある。
------------------
<国分寺市まちづくり条例>
別表第3(第50条,第71条関係) 開発事業の整備基準
9.国分寺崖線の保全及び再生に関する措置

(1) 国分寺崖線区域内の湧水源の周辺で規則で定める区域内において行う開発事業であって,れき層に及ぶ構造物を設ける行為及びその関連行為を伴うものについては,次に定める基準によるものとする。
ア 規則で定めるところにより,開発区域の地下水位及び湧水源の観測を行うこと。
イ 建築物の基礎工法が湧水に及ぼす影響について,規則で定めるところにより,事前評価を行うとともにその結果を公表すること。
(2) 国分寺崖線区域内において行う開発事業であって,建築物の屋上設備又は規則で定める工作物の設置を伴うものについては,その設置について周辺の環境と調和した形態,色彩,素材等についての計画を作成し,市長と協議すること。


<国分寺市まちづくり条例施行規則>
別表第4(第62条関係)
5.国分寺崖線の保全及び再生に関する措置

(1) 条例別表第3の9の項第1号の規則で定める区域(以下「観測区域」という。)は,別表第5に定める区域とすること。
(2) 条例別表第3の9の項第1号アの観測は,れき層に達する観測井を観測区域内に1箇所以上設置し,開発事業の着手前から工事完了後2年を経過するまでの間,水位,水質等について月1回以上定期的に行うものとし,その結果を市長に報告すること。
(3) 条例別表第3の9の項第1号イの事前評価を行うに当たっては,当該開発事業の計画における基礎の杭打ちの深さ,材質等を考慮して湧水に及ぼす影響を評価し,影響の少ない基礎工法の選択に努めるとともに,その結果を市長に報告すること。
(4) 前2号の規定は,開発区域が観測区域の内外にわたる場合であって,観測区域内にれき層に及ぶ構造物を設ける行為及びその関連行為を行わないときは,適用しない。
(5) 条例別表第3の9の項第2号の規則で定める工作物は,建築基準法施行令第138条(工作物の指定)第1項各号に掲げるものとすること。

別表第5 国分寺崖線区域内において地下水及び湧水源の観測を行う区域
東元町三丁目の一部,西元町一丁目の一部,南町一丁目の一部,南町三丁目の一部,泉町一丁目の一部,東恋ヶ窪一丁目及び西恋ヶ窪一丁目の一部

備考 国分寺崖線区域内において地下水及び湧水源の観測を行う区域を表示する図面は,市長が告示する。

■施行規則別表5の「観測区域図」
区域図は条例や規則には掲載されておらず、市長が告示するものなので、通常、市民の目に触れるところには出てきませんが、今回、初めて市民会議の資料として出てきました。私もはじめて見ました。

配布された資料自体が非常に不鮮明ですが、スキャンした画像を掲載します。
国分寺崖線区域内において地下水及び湧水源の観測を行う区域を表示する図面.jpg

国分寺崖線区域内において地下水及び湧水源の観測を行う区域を表示する図面.doc

■観測区域の範囲
縦縞のまだらな部分が「国分寺崖線区域」、網掛けの部分が「観測区域」、三角印が湧水です。
「観測区域」の範囲は、湧水の北側台地上では、特別に広い日立中央研究所を除けば、湧水から100m~300m。
湧水の南側は、狭いところで20m、広いところでも70~80m程度。
観測区域の南側の区切りは、湧水に一番近い道路・用水・野川になっているようで、真姿の池湧水の南側は元町用水沿い(お鷹の道)までが区域にはいっています。

■市の見直し案の内容
1)開発区域内に湧水源がある場合は、開発区域内の地下水位及び湧水源の観測を行うこととするが、れき層に及ぶ構造物を設ける行為及びその関連行為が湧水源に与える影響がないと市長が認めるときは、湧水源の観測は不要とする。(建築物がその湧水源より相当離れている場合や下側(南側)にある場合などは、湧水源の観測は除外することとする。)
2)開発区域内に湧水源がない場合であっても、湧水減の周辺で規則で定める区域内で行う開発事業については、必要に応じて地下水位の観測や基礎の事前評価などを行うこととする。
3)湧水源の周辺で規則で定める区域外であっても、国分寺崖線区域内の湧水源を保全するために、必要な措置を講じることについて、市長から協議を求める旨も規定をすることとする。

■市の見直し案の問題点
1.湧水というものは、そこで地下水が全部吐き出されるわけではなく、その先にも水みちは続いている。涸渇してる湧水も、地下水が無くなったのではなく、湧出口よりも地下水位が下がっているだけで、水みちは続いている。こうした地下水が用水や野川の河床の下の地下水位を支えているのだから、湧水の下流側なら何をやってもよいということにはならない。

2.湧水源南側の直近の場所で水みちを切り、地下水を汲み上げて下水に捨てるようなことをやれば、湧水源の地下水位が下がり、湧出に影響することだってありえる。
地中で土の抵抗を受けて流れている地下水を分断して、空気のあるところに出せば、当然水の流れは速くなり、地下水が引っ張られれば、湧水源の地下水位が下がって出なくなる。
湧水源の南側なら影響が無いとか、ここは観測の必要が無いなどどいうことが誰に言えるのか。市長にその判断がつけられるのか。

3.1)2)の内容を認めてしまうと、ハケ下直近(崖地を含む)に大規模な開発計画が起こった場合、地下水に対して何をやってもよいことになってしまい、「地下水および湧水源の観測をすることになっている区域」についての定めは無意味になってしまう。

■まちづくり市民会議の答申内容(7/22)
「開発区域内に湧水源がない場合、地下水位観測も行わなくてよい」と行政が間違った条例解釈を行っていたことが6/28の市民会議で判明。
7/14市民会議において、その運用実態を確認したところ、「観測をすることになっている区域内にはこれまで、礫層におよぶ工事の事例自体がなかった」との答弁がありました。
この件について市民会議は検討を行い、「湧水・地下水に影響をおよぼす区域を観測区域として定めたのであるから、開発区域内に湧水源がない場合でも開発区域内の地下水位の観測を行う趣旨となるよう、まぎれのない記述をとること」としました。

<市民会議の見直し提言>(答申内容)
1)湧水源の周辺で規則で定める区域内で行う開発事業は、湧水源の有無にかかわらず、地下水位の観測を行う。
2)開発区域内に湧水源がある場合は、建築物の位置にかかわらず、湧水源と地下水位の観測を行う。
3)湧水源の周辺で規則で定める区域外であっても、国分寺崖線区域内の湧水等を保全するため、必要な措置を講じることについて、市長から協議を求める旨も規定する。

■大綱案策定について
「第二次 国分寺市まちづくり条例改正大綱(案)の策定に向けての検討結果」の中の「市民会議の見直し提案」が市長に対する答申となり、これにて市民会議の任務は終了となりますが、大綱案を行政が作成する際、市民会議の答申に沿う内容になるとは限りません。第一次の改正案の中には、答申内容とは関係なく、庁内で最終決定されて議会に上程されたものがありました。条例で位置づけられている市長の諮問機関(審議会)の答申に行政が従わないということ自体、すでに異常事態です。
現在、議会で継続審議中の第一次改正案に第二次が加わるので、改正条項があまりにも多すぎて、議決されるまでに相当な時間がかかることは必至。その間は「現行条例」が守られなければなりませんが、行政の「規制緩和改正案」が実質運用されてしまうことがないよう、また、新しく制定される「湧水・地下水保全条例」の中身が、未だ行政の「案」でしかない規制緩和を前提とした内容になってしまわないよう、よくよく監視をして行かなければなりません。

(2010.7.27記)
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旧四小跡地東山道保存・整備計画2月の図面とその後の変更 [4.東山道武蔵路跡保存整備]

東山道武蔵路の保存・整備計画図面の変遷をたどってみましょう。

今回、7月と8月に行われた実施設計素案の市民説明会以前に、今年2010年1月31日と2月1日に、「旧市立第四小学校跡地に所在する古代東山道遺構の保存・活用整備計画」中間報告市民説明会が開催されていました。

私はこの時に説明会には出ることができなかったのですが、国分寺市教育委員会が2010年2月にまとめた「旧市立第四小学校跡地に所在する古代東山道遺構の保存・活用整備計画」を、国分寺市のホームページから見ることができます。

市ホームページ 旧第四小学校跡地に所在する古代東山道遺構の保存・活用整備計画:
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/keikaku/4186/011075.html

旧第四小学校跡地に所在する 古代東山道遺構の保存・活用整備計画(pdf)
(平成22年2月国分寺市教育委員会):
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/dbps_data/_material_/localhost/700000/s703000/TosandoSeibikeikaku.pdf

その2月の時点での計画図面をアップします。
2月の図面と7月の図面の比較、7月の図面と8月の図面の比較も載せておきます。

■2月の図面(旧四小跡地全体)
2010年2月の保存・活用整備計画図画像.jpg

2010年2月の保存・活用整備計画図.doc

■2月の図面拡大
●南側に植栽はあるが芝生はなく、全体がコンクリート平板またはインターロッキングブロックの貼り分け。
●第一期の溝がうすいオレンジ色、その後、道路が西側に少し移動した第三期の溝が薄茶色で表現されている。
●第三期の時代になって、第一期の溝にかかる場所に竪穴住居が建てられていたことを、色分けで表現してある。
2010年2月の保存・活用整備計画図画像拡大.jpg

2月図面拡大.doc

■2月の図面と7月の図面の比較
●大きくかわったのは、全体を覆っていたコンクリート平板またはインターロッキングブロックの貼り分けが取りやめになり、道路遺構・道路側溝跡部分と住居跡部分が弾性舗装(ゴムと砂を混ぜた素材)の色分けになった点。
●それ以外のところは芝生(草地)にして緑が多く確保された。
2月図面と7月図面の比較資料画像(畑中加工).JPG

2月図面と7月図面の比較資料(畑中加工).doc

■7月の図面と8月の図面の比較
●道路遺構が草地で、道路遺構の両側が弾性舗装というあべこべの表現に変更されたものが市民説明会で示された。
●芝生(草地)の配置が逆になっただけで、芝生(草地)の面積はたいして増えていない。夏場の照り返しの量はほとんど同じであり、公園としての快適性がよくなっているわけでもない。
●夏場、草地(芝生ではなく雑草地)にされた道路遺構の草丈が伸びれば、溝の表示も見えなくなる。何のための遺構整備なのだか全く本末転倒な上、公園としての使い勝手にも疑問。むしろ悪くなっている。
7月図面と8月図面の比較資料画像(畑中加工).jpg

7月図面と8月図面の比較資料(畑中加工).doc

以上、計画図面の変遷を見ていただきました。

今年2月の図面は、実寸代のジオラマ的な表現に徹しており、全体が舗装材で覆われているので、住宅地の中の公園としての居住性はどうなのかなあ、という気がします。
しかし、この地区一帯は他に公園がない場所ではなく、逆に公園だらけの場所です。福祉施設の東側道路を渡れば、新第四小学校のすぐ隣りに広大な都立武蔵国分寺公園の入り口があります。
公園の中に街があるような場所ですので、史跡公園は実寸代のジオラマでもよいのかなあという気もしていました。

ただ、私の希望としては、武蔵野の草原の中にどこまでもまっすぐに続く、幅12mの幹線道路が体感できるような整備がされれば最高だなあと思っていました。
7月に出てきた実施計画は、まさにそのとおりの表現がされていました。
市のやることには珍しく、といったら失礼でしょうけれど、これは快挙だなあと。
遺構表現も大事だけれど、住空間の一部としての快適性も大事。そのことをずっと言い続けてきましたが、まさにそのバランスが絶妙にとられた良い計画だと喜んでいました。

ところが今回の8月の実施計画では、今までの何もかもが無になるような、とんでもない計画変更です。
公園の中に街があるような地区に草地をひとつ増やし、肝心な遺跡が実感できないようなものをこしらえるとは、いったいどういうことなのかしら。

その裏に、いったい何があったのでしょう。


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東山道武蔵路跡保存整備工事実施設計のとんでもない変更、図面をアップ [4.東山道武蔵路跡保存整備]

「第2回東山道武蔵路跡保存整備工事の市民説明会」が8/21午前中、いずみプラザであったので出席しました。
8/21付けの観察日誌のページでもお伝えしたように、7月の説明会では大変よくできた実施計画素案が示されたのに、8/21の説明会では、道路遺構表示がとんでもないものに変えられておりました。

<7月説明会と8月説明会の経緯概略>
▼7月の素案は、歴史公園として東山道武蔵路の遺構表現も的確で、かつ、住宅地の中の公園としての快適性も十分に考慮されており、大変よく考えられた設計になっておりましたが、7/5の説明会に出席した「福祉施設事業者」から、「遺構表示のことなど聞いていない、教育委員会にだまされた、全面芝生にせよ」との強い主張がなされました。
▼とはいえ、この計画の経緯から言って、事業者が遺構表現について了解していないはずはありません。最初から東山道武蔵路跡には建物を建てず、史跡公園として整備することによって遺跡を保存・活用することが前提で、そのために協議会を作って議論し、地区計画(都市計画)をかけた上で事業者を公募(コンペ)で選考したのですから、事業者は当然、これに従わなくてはなりません。ですから、事業者エゴなど通るはずがないものと思って8月の説明会に出席いたしました。
▼ところが、この説明会で出てきた素案は、道路遺構の部分が芝生で、芝生の両側が、西側のマンションと東側の老人福祉施設側から利用できる舗装の遊歩道という構造です。つまり、道路遺構の部分が草地で、その両側が舗装道路となっていて、まさにあべこべなのです。
芝生といっても吹きつけ方式による草地ですから、夏は雑草の成長に草刈が追いつかず、草丈の伸びた草地状態になります。これでは、肝心な古代道路遺構は、両側に舗装された遊歩道の間にはさまる「中央分離帯」にしか見えません。解説板の読めない子供たちには、東山道は道が右左に二本あって、現代の高速道路みたいに、往路復路に分かれている道路だったという間違ったイメージを植えつけてしまいます。

実施設計の変更の背景については、また後日あらためて書きますが、とりあえず、7月の図面と8月の図面を掲載しますのでご覧ください。
7月の図面と8月の図面のそれぞれ、JPEG画像とワードファイルをアップしておきます。閲覧、印刷等、見やすいほうをお選びください。

■7月の図面
●黄色いラインは、第一期の道路側溝の表示。茶色いラインは第三期の道路側溝の表示。両方とも弾性舗装で色をかえて識別されるようになっている。
●第一期の道路側溝に挟まれた道路部分を弾性舗装にして、幅12mの幹線道路だったことを表現。
●道路標示以外は全面芝生(草地)で、一部がウッドデッキ。
2010年7月4日5日説明会に出された実施計画図面画像.jpg

2010年7月4日5日説明会に出された実施計画図面.doc

■7月の図面拡大
2010年7月4日5日説明会図面画像拡大.jpg

7月4日5日図面拡大.doc

■8月の図面
●第一期の東の側溝と、第三期の西の側溝の間が芝生(草地)になっており、道路幅12mが視覚的に捉えにくい。
●道路遺構の両側のうぐいす色の部分が弾性舗装の遊歩道。側溝表示の黄色と茶色、遊歩道のうぐいす色と三種類の色の帯状の舗装が隣り合い、何が何だかわからない表示となっている。
●道路が草地で、まわりが舗装という、あべこべな表現になっており、これを見て草地の部分が古代道路だとは誰も思わない。
2010年8月20日21日説明会に出された実施計画図面画像.jpg

2010年8月20日21日説明会に出された実施計画図面.doc

■8月の図面拡大
2010年8月20日21日説明会図面画像拡大.jpg

8月20日21日図面拡大.doc

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マンション床は売れる見込みナシ~北口再開発西街区ビル見直し案市民説明会  [3.国分寺駅北口再開発問題]

昨日(8/26)の北口再開発西街区ビル見直し案の市民説明会には行かず、ネットで公開されている資料を見ていましたが、24日の説明会に行ったという人から、夜、少し話しを聞きました。

市民意見職員意見にあったいろいろな提案に対して、ことごとく「床の処分に大きな課題があります。」と一蹴していましたが、床の処分に問題があるのは、マンションでも同じこと。
説明会でも当然のことながら、「それじゃあマンションの床なら売れるのか」という質問が出たとのことですが、予定価格で売り切る見込みがあるわけじゃやない、というより見込みはない、ということが判明。
売れなければ市がかぶる。もちろん税金を使って。

売れない見通しのものを何故作るのか?誰が得をする話なの?

「市役所をなぜ入れないのか」という質問も当然出たそうです。
市民意見、職員意見に対して、「その予定はない」と一蹴し、理由は説明されていませんでしたが、説明会ではさすがに理由を言わないわけにはいかず、市長答弁があったとのこと。
市長の答えは「前に失敗したから」

市長の失敗というのはこういうことです。
市役所本庁舎の耐震問題で建て替えをせざるをえなくなった時、恋ヶ窪の同じ場所で建て替えるか、泉町の都所有の休閑地(都立武蔵国分寺公園の西隣)に移転するか、ふたつの候補地のどちらを選ぶかという議論が始まりました。
その時、市長がまったく唐突に、「泉町に移転させます」と意思表明してしまい、現市役所のある恋ヶ窪周辺の商店主らを中心に、猛反対が起きたといういきさつがあるのです。市長の失敗とはこれのこと。

以前唐突に、「新市役所は泉町のほうがいい」と言って失敗したので、今度も「再開発ビルに市役所を入れます」と唐突に言えば失敗するにちがいない、ということなのです。

しかし、市役所建て替え場所は恋ヶ窪がいいか泉町がいいかという議論をしていた時と、今とでは全く状況が異なります。
当時は、北口再開発と並行して、市役所を新築することになっていました。
ところが、その後、北口再開発の事業資金がうなぎのぼりに跳ね上がり、再開発をやれば市役所は建てられない状況となり、北口を優先、市役所新築問題は事実上白紙になったのです。
ところが今度は、北口再開発のほうも、「商業床では売れない」という話になり、商業ビルとして計画されていた西街区は、地権者と交換する床面積だけ残して、ビルの大半をマンションにするという方針が出されたのです。

今回の説明会はその方針の説明のためのものですが、マンションにしたって床は売れ残り、市が20何億だかかぶる見通しだというのです。
だったらそのお金で市役所を入れればいいじゃないと、誰だって思うでしょ。
私が今まで市役所問題について話したことのある人は、市民、識者を問わず、全員がそう言っています。
そのくらい、今、市民にとってニ-ズのある話なのに、「市長が前に失敗したから」という理由で市民の側のニ-ズに目を向けようとしない。

市役所は、本庁舎が立ち入り禁止で、あちこちに機能が分散されているのだから、新庁舎建設の緊急性は最大なのです。
ところが、北口再開発の緊急性のほうがより高いということで、新庁舎建設は白紙になったわけですが、ここへきて商業ビルの計画がただのマンションの計画になり、商業の発展につながるものではなくなった。特定の人のお城を市が作ろうという話になっちゃった上、売れ残る見通しだというのだから、そんなもの、大半の市民は望まない。
公益性のきわめて低い、しかも税金をドブに捨てるような再開発ビルをつくることより、新庁舎建設の緊急性のほうがはるかに高いのです。
しかも市は、西街区の3フロアをつかって、図書館だの市民サロンだの、緊急性の全く無い公益施設を作って見せかけの公益性をアピールしようとしているのだけれど、それならあと2~3フロアも増やせば市役所を入れるのに十分な面積でしょう。
税金はそういうことに使って欲しい。

市長が以前、失敗したのは、新市庁舎建設地の選択肢は二つあって、市長が勝手にひとつを選んでしまったからです。
その計画は結局頓挫して、今、新市庁舎を建てるとすれば、場所は北口再開発ビルしかない。選択肢は一つしかないのだから、どっちを選ぶかの問題でなく、やるかやらないかの問題です。

市長は、「北口再開発のスケジュールが押しており、市役所について市民のコンセンサスを形成する時間的余裕はない」とも言ったそうですが、スケジュールはもうすでにここまで遅れているのですから、あわてて売れないものを作るなんて馬鹿なことをしちゃいけません。
市民に聞かずに先走ったことが失敗だったというのなら、今すぐ、「市役所を再開発ビルに入れたいがどうか」とアンケ-トでもとればいいのです。
間違いなく圧倒的多数が賛成するはず。項目を絞れば集計時間も短縮できるはずです。
北口再開発の時間的余裕がないのであれば、短期間で市民のコンセンサスをまとめるのが市長の仕事。
問いかけさえすれば、圧倒的多数のコンセンサスを得られるはずのことをやらない。

みんなが意見を言っているのに、行政が聞く耳もたない。
情勢を見極められず決断がつかない、このアンテナ感度の鈍さが、市民と乖離して行くだけではなく、関係事業者が次々と手を引いていく原因なのかも。
ハコモノを作る能力なしと見限れば、みすみす損する事業に手を出す業者はいないでしょう。
次から次へと見捨てられ、「マンション建設なら、まあ、やってもいいですよ」という最後の頼みの綱にしがみついているとしか思えません。

市役所移転をやらないのなら、もう再開発自体をやめたほうがいい。
地権者との契約は進んでしまったけれど、超高層マンションを建てることなんて、大半の市民は望んでいないのですから。ましてや、売れ残る見通ししかないのならなおさらのこと。
やめれば四方八方に弁償金を払わなければならないけれど、おそらく火傷の度合いはそれが最小。
このまま行けば、国分寺市は大炎上、まさに坂道をころがり落ちるように、財政破綻の道をまっしぐらではないか。

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国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案が公開されています  [3.国分寺駅北口再開発問題]

このブログの8/18付けで、国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案の市民説明会が8月24日と26日に開催のご案内をいたしました。
http://masugata.blog.so-net.ne.jp/2010-08-18-1

私は8/24に行くつもりでしたが、軽い熱中症になったので8/26のほうにと思っていましたが、きょうも暑いので家でグダグダしています。

市のホームページに、昨日(8/25)付けで「国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案決定」の記事が出ました。平成22年7月21日に、市として見直し案を決定したのだそうです。
説明会に行けなかった方、ご参考になさってください。

国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案を決定しました
更新日 平成22年8月25日
国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案について:
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/torikumi/4253/012232.html

-----(以下、転載)----------
検討を進めてきた西街区ビルの施設計画について、平成22年7月21日に、市として見直し案を決定しました。今後は、この見直し案を基に、議会での審議もふまえながら、都市計画の変更に向けた調整と、基本設計に向けた具体的な基本計画作成を進めて参ります。見直し案の内容などについては、下記をご覧下さい。
また、見直し案の検討過程では、市民のみなさんから、多くの意見をいただきました。どうもありがとうございました。いただいたご意見の一覧と、それに対する市の考え方についても、下記に掲載しています。
今後とも国分寺駅北口地区再開発事業について、ご理解とご協力の程、よろしくお願いいたします。

見直し案決定までの経過(PDF形式 7.3KB)
西街区ビル施設計画見直し案について(PDF形式 8.8KB)
検討案の比較表(PDF形式 21.6KB)
西街区ビル見直しへの市民意見概要、およびその意見への考え方(PDF形式 163.5KB)
西街区ビル見直しへの職員意見概要、およびその意見への考え方(PDF形式 84.8KB)
--------------------------------

PDFファイルの中に、「西街区ビル見直しへの市民意見概要・・」というのがあって、平成22年6月22日から募集した市民意見をまとめたものですが、もうひとつ、「西街区ビル見直しへの職員意見概要」というのがあります。
記述によると、西街区ビルの施設計画案の見直しに際しては、市民の皆さんからの意見募集と並行して、市役所内で職員からの意見も募集し、それをまとめたものだそうですが、市民意見と並べて職員意見を公開しているのなんて、はじめて見ました。

中身を読んでみますと、職員さんたちもそれなりに考えていろんなアイデアを出しておいでです。
マンションにしないで市役所移転せよというのも何通かありましたが、市は「市役所の移転は考えておりません」と軽く一蹴。考えていない理由は書いてありません。回答の体裁をなしていませんが、要するに書けない理由があるのでしょうね。
ほかのアイデアに対しても、「床の処分に大きな課題があります。」と、要するにほとんど全否定です。

なんで意見募集なんかしたんですかね。
庁内的にも反対意見が多くて、一種のガス抜きなのでしょうか。
国分寺市職員はイエスマンばかりではないのだということはわかりましたが、職員意見は無記名だったのでしょうか。市民は住所・氏名・年齢・電話番号など全部書いてだしますが・・・。
職員さんたちも記名だとすると、反対分子あぶりだし、なんてことはまさかないでしょうね。

しかし職員意見、学級会レベルとは言いませんが、あんまり迫力ありません。そのように編集されて公開されたのでしょうか。

中にはこんなのありました。
「住宅とするのであれば,日本最高水準と言えるくらいの環境配慮型住宅にしたら,話題性が出ると思う。」
って、百何十メートルだかの超高層で、何が環境配慮型なんだか。

もっとすごいのありました。
「居住建築物についてはひとつのみ国分寺市のシンボルとして「七重の塔」を模したものをつくる。」
誰が買って住むかなあ・・・。
これに対する市の回答が笑えます。
「国分寺らしさを取り入れていきたいと思いますが,景観に配慮し2つのビルのバランスも重要であると考えます。」
ふたつとも七重の塔ならいいのかね。

私はというと、駅前に再開発の都市計画がかぶせられて何十年もたつため、密集した古い建物の建て替えもできず、地震がきたら火の海になること必至。なので、なんらかのかたちで再開発はすべきだと考えてきましたが、今回の全部マンションの計画変更と総工費がどんどん増えて行くことへの疑念から、都市計画自体を全部やめるべきだと、考えが180度かわりました。
都市計画がなくなれば、民間は老朽化した建物を自分で建て直しますよ。道路なんか狭くて結構。

ただし、市役所を移転させるという話になるのなら賛成です。その考えはないそうですが。
市役所本庁舎の耐震強度が恐ろしく低く、立ち入り禁止になってから何年たつのでしょう。
行政機能は市内のあちこちに分散して、不便この上なく、この非効率自体が大きな無駄です。
北口再開発経費の高騰のために、市役所新築問題は白紙撤回されました。
なぜ、北口再開発に市役所を入れないのか、不思議でなりません。
旨みがないのでしょうか。

都市計画の見直しばかりが、何十年にもわたって延々と繰り返される間に、街は停滞し、老朽化し、危険が増し、どんどん悪くなる。まさに見直しのデス・スパイラル。
むしろ、なるべく何もしないでいてほしい・・・。

そろそろ市民説明会は終わったころでしょうか。



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国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案の市民説明会(8/24、8/26)  [3.国分寺駅北口再開発問題]

国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案の市民説明会が8月24日と26日に開催されます。
西街区ビルは商業ビルとして運営する見通しがたたないことから、超高層マンションに変更するという内容で、東街区も西街区も両方とも、商業施設ではなく、単なる超高層マンションを市が売り出すというものです。しかも、見直すほうの西街区は、当初、高さが60m程度だったものが、130mに変更と聞いています。(正確なところは未確認)
こうなるとこれは、大規模土地利用構想からやり直さなければならないほどの変更だと思いますが、まちづくり市民会議には一切の報告がありませんので、私も詳しいことはわからないのですが、市が独断で強行して良いような内容ではありません。
二棟とも超高層マンションということになれば、国分寺崖線の景観の問題、殿ケ谷戸庭園の湧水への影響などがあらためて問われなければならないと思います。

説明会に是非、ご出席ください。

下記日程等は、国分寺市ホームぺージより
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/torikumi/4253/012214.html

■国分寺駅北口再開発事業西街区ビル見直し案の市民説明会を開催します。
市は、国分寺駅北口地区第一種市街地再開発事業の事業成立に向けて、見直しを進めてきた西街区ビルの施設計画案について方向性がまとまりましたので、市民説明会を開催します。

日時(1)8月24日(火曜日)午後7時から9時
  (2)8月26日(木曜日)午後2時から4時
会場(1)国分寺Lホール(駅ビル8階) (2)ひかりプラザ2階

問い合わせ:都市開発部国分寺駅周辺整備課国分寺駅周辺整備担当
電話番号:042-323-9190 ファクス番号:042-323-9060
住所:〒185-0012  国分寺市本町3-2-17 国分寺駅北口事務所2階

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まなざし [2.まなざし(画像集)]

仁王像.JPG
仁王像(武蔵国分寺 仁王門)

ゴミ捨て禁止.JPG
国分寺市の啓蒙ポスター
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